飲食店倒産増における出店チャンスの増加の考察
帝国データバンク2024年1月のレポート
こちらの要約——–
「2023年に発生した飲食店の倒産は768件に上り、前年の452件から約1.7倍に急増し、新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態宣言の影響で大幅に経営環境が悪化した2020年の780件に次ぐ過去2番目の高水準を記録しました。
特に、居酒屋業態が204件で最も多くの倒産を数え、夜間営業の休止などによる影響が大きかったことが明らかになりました。
また、家飲みの拡大により、居酒屋への需要がコロナ前の水準に戻らず、公的支援が打ち切られたことで資金繰りに苦しむ個人商店や零細居酒屋が多数を占めました。
さらに、中華料理店(109件)、カフェ(喫茶店)(72件)なども過去最多を更新しました。このように、コロナ禍や人手不足、物価高騰など当初の経営計画から想定外の事態に直面し、経営体力の限界に達したケースが多く見受けられました。
業歴10年未満の飲食店が全体の約4割を占める中、過小資本での開業が原因で計画や見通しが甘く、破綻に至るケースも少なくありませんでした。」——–
この記事からの考察として、この状況は、新規出店を検討している企業にとっては、ある種のチャンスを意味します。
確かにネガティブなニュースではありますが、この状況により市場には空き物件が増える傾向にあり、これにより立地条件の良い場所や以前よりも手頃な賃料で物件を確保できる可能性が高まっています。
飲食市場への新規参入者は、過去の倒産の教訓を生かし、より堅実な事業計画と充分な資本をもって市場に参入することが重要です。
また、ポストコロナ後に定着した、テイクアウト・デリバリーサービスの強化、オンラインでの顧客とのコミュニケーション強化など、変化する消費者ニーズに応える柔軟な経営戦略が求められます。
さらに、人手不足や物価高騰に対応するための効率的な運営方法やコスト管理の工夫も、成功のカギを握ります。
具体的には、配膳ロボット等のデジタルツールを活用した業務の効率化、エネルギー効率の良い設備投資、地元産食材の利用による配送コスト削減と地域貢献なども一案として考えられます。
経済環境や消費者行動の変化に柔軟に対応し、持続可能なビジネスモデルを構築することで、新規参入企業は飲食業界での成功を目指すことができるでしょう。
このようなアプローチは、不確実性が高い現在の市場環境下で、新たな機会を見出し、飲食業界全体の活性化にも貢献する可能性を秘めています。
飲食業界において倒産が増えている時は、成長する飲食業界の新たなプレイヤーが台頭するタイミングでもあります。
人間の胃袋は減っていませんので、需要は必ずあります。その需要をしっかりと抑えるビジネスモデルの構築が重要になります。